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当院で取り扱っている疾患と治療

斜視

斜視とは

両眼の視線が正しく見る目標に向かわないものをいいます。一方の視線が内側や外側、あるいは上下に向いている異常です。斜視の患者様の多くは、「人と目線が合わない」「物が二つに見える」「焦点が合いにくい」といった症状を訴える方が多いです。

原因

斜視は眼球を動かす働きをする外眼筋と重要な関係があります。私達が普段ものを見るとき、両眼の眼筋が微妙に調節をして見たいところに焦点を合わせるように眼球を動かしています。そのため、眼筋の神経支配の異常、眼筋そのものの異常、眼筋付着部の異常などにより斜視がおこります。また強い遠視・近視がある場合や片眼の視力不良の場合などでおこる場合もあります。乳幼児期の異常はしばしば正常な眼の機能の発達を損なうことがあり、斜視の原因になることがあります。

斜視の種類
内斜視

片眼の視線が内側に向いている状態(寄り目)で斜視の中でもっとも多く、原因が調節に関与しているものといないものがあります。

  • 調節性内斜視
    調節(ピントを合わせること)をするときの過剰な眼球の内寄せ(輻湊)によりおこるものです。遠視が原因になっていることがほとんどで、1歳以後、普通は2~3歳で発症します。
  • 先天性内斜視
    屈折(遠視や近視、乱視など)が関与しない内斜視です。一般には両眼視機能が発達する以前(生後1年以内)に発症します。
  • 非調節性内斜視
    器質性疾患が原因となったり、また特に原因が明らかでなく発症する内斜視です。多くは徐々にずれが大きくなりますが、急性に発症することもあります。
外斜視

片眼の視線が外側に向いている状態です。内斜視とは違い年齢に関係なくみられます。

  • 間欠性外斜視
    普段は眼の位置はまっすぐですが、ぼんやりしたときや疲れたとき、遠くを見ているときなどに、時々斜視になるものです。一般に外斜視のうちの90%前後がこの型の外斜視といわれています。
  • 恒常性外斜視
    恒に外斜視になっている状態で間欠性外斜視から進行していく場合もあります。原因として、左右の視力に差がある場合や、何らかの原因で両眼視機能が獲得されなかった場合などがあります。
検査・診断

検査例1.

  • 視力・屈折検査
    視力と屈折異常(遠視・近視・乱視)の程度を調べます。
  • 眼位検査
    どちらの眼が、どの方向に、どれくらいずれているのかを測ります。
  • 眼球運動検査 眼が内外・上下に正しく動いているか、また近くを見るときに内に寄るかなど眼の筋肉のバランスを見ます。
  • 両眼視機能検査
    両眼で物をきちんと見ることができるかを特殊な眼鏡や機械を用いて調べます。これらの検査結果をもとに斜視の原因や種類を判断し、今後の治療計画を考えていきます。
治療
  • 屈折矯正(眼鏡やコンタクトの装用)
    斜視の治療の第一は屈折矯正にあります。屈折を矯正することにより両方の眼で同じ様に焦点の合った像を見させることが斜視の治療で一番大切なことです。両方の眼ではっきりとした像を見ることにより両眼視をさせます。また遠視が強い場合は遠視によって引き起こされる不必要な輻湊によっておこる内斜視は眼鏡の装用することで改善されます。
  • プリズム眼鏡
    プリズムレンズを眼鏡のレンズに組み込み、光を曲げることで擬似的に正常と同じように視線が一点に向かうようにします。
  • 手術
    それぞれの眼には6つの眼球を動かす筋肉(眼筋)があります。斜視はこの眼筋の働きの微妙な関連がうまくいかないことによるものですから、眼筋の位置を後ろにずらしたり(後転術)、逆に前もってくる(前転術)、あるいは眼筋の一部を縮める(短縮術)などの方法により、眼筋の働きを加減させ眼球を正常の位置に戻します。手術の時期や、どちらの眼のどの眼筋をどの方法で手術を行うかは担当の医師とよく相談しましょう。
斜視の手術

一定以上の大きな目の位置のずれを治すため目を動かす筋肉の位置を修正します。
小児では原則として小児専門麻酔医による全身麻酔下で、成人では原則として局所麻酔(球後麻酔)で斜視手術を行います。当院では、お子さんの全身麻酔手術にも対応しております。手術後は、専任視能訓練士が斜視訓練を行います。ただ、斜視手術は戻りがある場合もあり、手術時期、方法については担当医や視能訓練士とよく相談する必要があります。当院での入院期間は通常2~3日間です。

斜視の手術について

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