妊娠中の食生活Q & A
Q1. 魚に水銀が含まれていると聞いたことがありますが、食べない方がよいのでしょうか?
A) 魚には良質なたんぱく質や脂・カルシウム等が豊富に含まれているため、妊婦さんには積極的に摂っていただきたい食材の1つです。
しかし一部の魚には水銀が比較的多く取り込まれていますので、食べる際は上限には気を付けましょう。
※※食べる量に注意が必要な魚※※
・キダイ(レンコダイ)、マカジキ、ミナミマグロ(インドマグロ) …1回約80gとして週2回まで
・キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチマグロ …1回約80gとして週1回まで
☆マグロの中でもキハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は問題ありません。
【重量の目安】
寿司1貫のネタ…約15g 刺身1人前…約80g 切り身1切れ…約80g
Q2. お刺身などの生ものは食べても良いのですか?
A) 妊娠中は抵抗力が弱まっていますので、食中毒や消化不良を防ぐ意味で基本的にたんぱく質(肉、卵も含む)を生で食べることは勧めません。しかし、加熱したたんぱく質でも保管方法を誤ったり賞味・消費期限を守らなかったりすることで食中毒感染への可能性は充分に高まるので、食材を扱う際はこれらにも気を付けましょう。
Q3. お腹がすいた時には何を食べたらよいのですか?
A) 果物、ヨーグルト(無糖、自分で少量のジャムやはちみつをかける)、ナッツ類、アーモンド、鯖缶、ちくわ、さつま揚げ、魚肉ソーセージ、卵など。
間食=補食と考え、1日3回の食事の中で足りていない物を補うよう意識してみてください。
もちろんこれらも摂り過ぎは糖分や油脂、塩分過多に陥りやすいので、何においても適量摂取が重要です。
ちなみにお菓子(甘いチョコレート、アイスクリーム、スナック菓子等)は糖分・油脂とも多いので原則お勧めしません。また、空腹を紛らわす方法としては温かい無糖の飲み物(お茶、コーヒー、紅茶等)や無糖の炭酸水を飲むことを勧めます。
Q4. お酒はちょっとくらいなら飲んでもよいのですか?
A) 妊娠中のアルコール摂取は原則お勧めできません。アルコールにより赤ちゃんの脳に影響すると発育・成長障害や中枢神経障害、身体障害など赤ちゃんの発達に生涯影響する可能性があります。妊娠中に限らず、授乳中もアルコールは母乳に移行するため原則お勧めしません。
Q5. チーズ、ハチミツは妊娠中に摂ってはいけないと聞いたことがありますが、実際にどうですか?
A) チーズは種類に注意。ハチミツの摂取は特に問題ありません。
- 妊娠中はナチュラルチーズ(=未加熱殺菌)の摂取により、リステリア菌による食中毒に感染しやすいと言われています。プロセスチーズ(=加熱殺菌済)の摂取は特に問題ありません。 但し、ナチュラルチーズでも加熱されている商品もあるため、加熱の有無・必要性は商品表示を確認してください。その他生ハムやスモークサーモンも控えた方が良いとされています。
- ハチミツは生後1歳未満の赤ちゃんに与えると乳児ボツリヌス症に感染する恐れがあります。妊娠中のハチミツ摂取による健康被害は報告されていないので問題ありませんが、ハチミツそのものがカロリーが高いので、パン等に付けすぎたりヨーグルトや飲料に入れすぎにならないよう注意しましょう。お腹の赤ちゃんに胎盤を通じてボツリヌス菌が移行することはありませんのでご安心ください。
Q6. カロリーゼロ飲料は飲んでも良いのですか?
A) カロリー過多を防ぎ体重増加を抑える意味で、通常の甘い飲料よりは良い、とはしています。しかし甘味自体に依存性があるため、カロリーゼロだからと言ってそのような甘い飲料ばかり飲み続けると常に口が甘い物を欲してしまい、甘い物なしでの生活が困難になる恐れがあります。ちなみにカロリーゼロ飲料とは、少量で砂糖の何十~何百倍もの甘味を持つ人工甘味料を使用することでカロリーを抑えているのですが、人工甘味料自体の歴史がまだ浅いため、長期的に摂取した場合の健康被害は未だ明確になっていない点が多いのも事実です。また、カロリーゼロは正確には0kcalではなく、栄養表示基準により『100ml(mg)あたり5kcal未満』であればカロリーゼロの表記が許可されています。
Q7. 野菜は生(サラダ)と調理したもの(煮炊き物)ではどちらがよいのですか?
A) どちらでも構いませんが、各々利点は異なります。
- 生(サラダ)での摂取は、茹でる焼く等の調理工程が少ないため栄養素の損失も比較的少なく、ビタミンミネラル等の栄養素を大きく逃さずに摂取する事が可能です。また、加熱していない分噛み応えがあるので咀嚼回数が自然と増し、ゆっくり時間をかけて食事を摂る事に繋がります。
- 調理したもの(煮炊き物)は加熱によって野菜のかさが減るため、一度に多くの量の野菜を摂取する事が可能です。しかし煮炊き物であれば煮汁に野菜の栄養素が流れ出ているため、食べる際は煮汁も摂取することを勧めます。塩分摂取過多を防ぐため味付は薄味を心掛けましょう。
Q8. 卵や牛乳を妊娠中に摂るとアレルギーを持った赤ちゃんが生まれると聞きましたが本当ですか?
A) 妊娠中の食事内容が子供の食物アレルギーに関与するという明確なエビデンスは現時点ではありません。子供の食物アレルギーを恐れて特定の食材を一切食べないような事は食事内容の偏りを招く元なので、バランス良く色々な食材を食べましょう。
Q9. 便秘気味ですが、それを解消する食べ物はありますか?
A) 2種類の食物繊維を意識してみましょう。
・水溶性食物繊維:便を柔らかくして腸内環境を整える(海藻類、果物、野菜、こんにゃく等)
・不溶性食物繊維:便のかさを増やして腸の動きを活発に(豆類、きのこ、野菜、玄米・雑穀等)
☆水溶性・不溶性食物繊維をバランスよく摂る事が便秘解消に役立ちます。特定の食品だけに偏らないよう色々な食品を組み合わせ、十分な水分摂取も心掛けましょう。
☆納豆・ヨーグルト・キムチ等の発酵食品や、切干大根・干しシイタケ・きくらげ等の乾物も習慣的に摂取するよう意識してみましょう。