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診療内容・特色

産科診療案内/妊娠中から分娩中におきる異常について

妊娠糖尿病について
妊娠糖尿病って何??

妊娠糖尿病と言われるものには2種類あります。

妊娠糖尿病の種類

*当院産婦人科では、初診時の血液検査や妊娠中期の50g糖負荷試験にて、妊娠糖尿病のスクリーニング検査を行っております。基準値より高い場合には妊娠糖尿病の疑いがあるため、内科を受診していただき、75g経口糖負荷試験を行って診断をしています。

診断基準
75g経口糖負荷試験で1つでも当てはまれば
「妊娠糖尿病」
1つでも当てはまれば
「糖尿病」
空腹時血糖    92mg/dl以上 ①空腹時血糖126mg/dl以上
負荷後1時間血糖 180mg/dl以上 ②HbA1c    6.1%以上
負荷後2時間血糖 153mg/dl以上 ③糖尿病性網膜症が存在
(2時間値200mg/dl以上なら右記①~③を検討) ④随時血糖  200mg/dl以上
血糖値ってどれくらいならいいの?
  • 食前血糖    60~100mg/dl
  • 食後1時間血糖 ≦140mg/dl
  • 食後2時間血糖 ≦120mg/dl
  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)4.3%~5.5%
    ※HbA1c・・・最近1~2ヵ月の血糖値の平均を表わす指標
なぜ血糖が上がるの??

食事すると、私たちの体の中では、血液中の糖の濃度(血糖値)が上がります。その血糖値が上がりすぎないように体の中のすい臓からインスリンというホルモンを出して、血糖値をコントロールしています。
妊娠中ママは常に赤ちゃんに栄養を与えているため、お腹の空いている時の血糖値は妊娠していない時と比べ低くなります。妊娠週数が進むにつれて胎盤から分泌されるホルモンがインスリンの働きを弱めてしまうため、もともとインスリンの働きが悪い人は糖尿病を発症しやすくなるのです。

母体の血糖値(血液中の糖の濃度)が上がり、胎盤を通じて胎児の血糖値も上がることで、母子共に様々な合併症が起こります。

妊娠中に血糖が上がるとなぜ悪いのか??

血糖値が高いと血管がもろくなりやすくなります。特に小さな血管の集まる臓器に影響が出てきます。
眼の網膜、腎臓、指先等がありますが、妊娠中で最も影響を受けるのは胎盤です。

赤ちゃんへの影響

…先天奇形、巨大児、発育不全、新生児低血糖、呼吸障害など
子供が将来、肥満や糖尿病を発症することも多くなります。
(血糖が高いだけならば赤ちゃんは巨大児となり、 胎盤がもろくなってしまうと発育不全で未熟児となります)

ママへの影響

…流産、早産、妊娠高血圧症候群、羊水過多、巨大児に基づく難産など
妊娠中に血糖が高い状態が続くと、糖尿病と同じように様々な合併症を起こすリスクも上がります。

このように妊娠中は自分自身のみならず、赤ちゃんへも影響が出てしまうことを考えると、血糖のコントロールがどれだけ大切かわかります。

妊娠糖尿病と診断されたらどうすればいいの??

食事、運動、薬の3つの方法があります。

<食事>

まずは食事療法です。食事療法といっても食事制限ではありません。ママと赤ちゃんが健全な妊娠を送れるような栄養バランス、エネルギーが必要です。その中で食べ過ぎや間食をやめたり、食事時間を正しくする工夫が大切です。

<運動>

運動療法は、妊娠中であるため、産婦人科医師への確認が必要です。

<薬>

薬が必要になる場合、妊娠中はインスリン注射しか使用できません。インスリンは私たちの体内のすい臓から出されるホルモンです。もちろん赤ちゃん自身もインスリンを分泌することができます。ママは妊娠によってインスリンの効果が悪くなったために足りないインスリンを注射で補います。
インスリンは胎盤を通らないため、赤ちゃんが低血糖になってしまうなどの影響はまったくありません。

出産後はどうなるの?

出産後は、インスリン治療が不要となることがほとんどです。
妊娠によってインスリンの効果が悪くなっていたのが、赤ちゃんが生まれてインスリンの効果も元に戻り、血糖も妊娠前と同じようになるからです。

ただ、妊娠糖尿病と診断されたことのある女性は、もともと血糖が上がりやすい体質を持っていた可能性が高く、出産後に血糖が正常に戻っても将来糖尿病を発症する頻度が高いため、定期的に検査が必要です。
当院では、基本的に妊娠糖尿病と診断された方すべて、出産後3カ月後に75g経口糖負荷試験を再度行い、お産後の血糖コントロールの状況を評価します。

日頃からバランスの取れた食事や適度な運動、規則正しい生活を心がけること、定期的に検診を受けることで将来の糖尿病発症を予防することができます。

入院中に行われる検査について

入院中様々な検査が行われます。ここでは入院中に行われる検査の目的と併せて将来の糖尿病予防の意識づけのためにも合併症について勉強していきましょう。

尿の検査

腎臓は老廃物のろ過器であり、その機能を維持するために血管もたくさん集まっています。
糖尿病があると、腎臓の血管が傷みやすく、ろ過の機能の低下も進みます。ろ過がうまくいかないと、尿にタンパクがでるようになり、高血圧やむくみがあらわれます。放置すると腎不全や透析などということになりかねません。
はじめのうちは、自覚症状がありません。無言のまま進んでいることがありますから、要注意です。

腎機能を評価するために、1日尿を蓄える検査が行われます。この検査は尿量が結果を左右するので、排便時の尿も捨ててはいけません。
また、入院中に採血を行います。

その他

神経障害が進むと、感覚が麻痺して痛みを感じなくなります。
けがややけどや心筋梗塞の痛みに気が付かないと大変です。
また、眼の奥の網膜がもろくなると糖尿病性網膜症になることがあります。目の前を物が飛ぶ、かすんでみえる、メガネがあわなくなった、などを感じたらすぐに医師に相談しましょう。

よくある質問
Q.体調の悪い時はどうすればいいですか?

A.体調が悪く下痢や嘔吐、ご飯が食べられないなどあれば、血糖も変動しやすく、そのままいつも通りインスリンを注射してしまうと、低血糖になるリスクも上がります。そのような時はインスリンの量を調整する必要がありますが、自己判断では危険なため、早めに受診するようにしましょう。

Q.妊娠中にインスリン注射をしていた、または出産後もしているが、母乳を飲ませても大丈夫ですか?

A.インスリンは乳汁に移行しませんから飲んだ赤ちゃんが低血糖を起こす心配はありません。授乳にインスリンは何ら問題がありません。

Q.退院してからの血糖測定はどうしたらいいですか?

A.1日3回食後2時間の血糖値を測ります。毎食、食事を食べ始めてから2時間後の血糖を測るようにしてください。また、低血糖症状のある時も血糖を測り、対処が必要です。

Q.退院後、使った針は普通にゴミに出していいですか?

A.使用した針などは医療廃棄物のため、一般ゴミ等で出してはいけません。退院後は、ペットボトルなど使用した針を保管しておき、外来などで病院へお越しの際、持ってきていただいたらこちらで処理します。

 

何か困ったことがあれば連絡ください。

あさぎり病院 2階病棟直通 TEL:078-913-1103

※お産の時は、血糖測定器やインスリンなど、もっているものは全部もってきてください。

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